インド旅行は危険?20代女性が実際に行ってみてわかったことあれこれ
インドに行こうと考えたとき、真っ先に安全面の心配をする人は少なくありません。
カオスで刺激の強い国、その負の一面としてなんとなく危ない印象があったりしますよね。
この記事では、2017年秋に初めてインドを訪れた筆者(20代女性)が、現地での実体験をもとに、インド旅行の安全面についての情報をお届けします。
基本的な注意を欠かさなければ、特別危険ではない
結論から言うと、インドを旅行するにあたり気をつけるべきことはいろいろありますが、それらを守っていれば特別危険ということはありません。
事前に情報を調べ、注意点を知り、わざわざ危ない目に遭うような行動をしなければ、問題なく旅行を楽しむことができます。
ただし、どれだけ気をつけていても運悪くトラブルに巻き込まれてしまうことはあります。
ですがそれはインドに限らず、国内外問わずそういうものですから、そのときはそのときで最善の対処ができるよう、やはり事前に情報収集をしておくとよいでしょう。
情報収集の基本
安全情報の集め方
基本的な情報収集として、
- 外務省のサイトを見る
- ガイドブックを見る
- ネットで検索する
などの方法が挙げられます。特に1と2は目を通しておくとよいでしょう。
以下、外務省の海外安全ホームページを例にとってお話ししていきます。
インドの安全情報を見てみよう
基本的な情報のひとつに、外務省の海外安全ホームページがあります。
インドのページはこちらです。
(2020年1月現在)全土が黄色く塗られており、びっくりされる方もいるかもしれませんね。
黄色の地域はレベル1「十分注意」のエリアです。
下にはこのようなことが書かれています。
【ポイント】
●インドには,インドからの分離独立を主張する少数民族の権利保護を唱える過激派等が複数存在し,各地でテロ活動を行っています。また,大都市では,インド当局がイスラム過激派等によるテロへの警戒を高めるよう呼びかけています。ついては,不測の事態に巻き込まれないよう,最新の治安情報を収集し,行動に慎重を期す等の安全対策を講じてください。
●北東部諸州でも,武装勢力が多数存在し,活発なテロ活動をしていますが,メガラヤ州東部地域においては,一部の武装勢力との停戦合意,治安部隊による掃討作戦などにより小康状態となっており,武装勢力による活動は近年見られないことから,危険レベル2から1に引き下げます。
●インドでは窃盗,詐欺や睡眠薬を用いた強盗,強姦などの犯罪が頻発しています。[出典:海外安全ホームページ: 危険・スポット・広域情報(2020年1月26日現在)]
なんだか怖いことがたくさん書かれていますが、落ち着いて読み解いてみましょう。
安全情報の読み解き方
この情報を私なりに読み解くと次のようになります。
- レベル1の地域では、おもに窃盗・詐欺・強盗・強姦などの犯罪に気をつける
- レベル2の地域は治安に不安あり、旅行で行くのは控える
- レベル3~4の地域には絶対に近づかない
あくまで筆者個人の考えです。鵜呑みにせず、参考程度にお願いします。
レベル1なら旅行できる
他の国もいくつか見てみるとわかりますが、真っ黄色の国は結構な数あります。
そのすべてが「安心して外を歩けない!超危険!」だとは、ちょっと考えにくいですよね。
また欧米諸国など、白色になっている国でも犯罪は決して珍しくありません。テロだって起こるときは起こります。
したがって、レベル1は「なるほど、こういう犯罪が起きやすいんだな。うかつなことしないように気をつけよう」くらいの解釈が妥当だと思います。
レベル2~4への旅行は控える
一方で、レベル2「不要不急の渡航中止」以上の地域は警戒したほうがよいと思います。
たとえばインドの場合、テロの情報が出ていて、かつわざわざ濃い色が塗られているということは、明らかに身の危険のリスクが高いと考えられます。
レベル2以上の地域は、文字通り、渡航はやめておくのが賢明かと思います。
私が現地で気をつけていたこと
私がインドで実際に気をつけていたポイントは次の通りです。
- 道路と車
- 水と食べ物
- 病気と健康
- スリ、ひったくり
- ぼったくり
- 知らない人からの声かけ
- 性犯罪
- 宗教的、文化的マナー
道路と車
インドで危険というと、真っ先に思いつくのが道路と車です。
海外旅行中の死亡原因で多いのが交通事故だ。インドでは人よりも車優先で、われわれ旅行者はとても弱い立場になる。
[出典:D28 地球の歩き方 インド 2017~2018 p.113]
これは本当にその通りで、日本の極めてお行儀のいい道路事情に慣れていると非常に危険です。
インドの道の様子をざっくり列挙してみると、
- 歩道と車道の区別がほとんどない
- 信号や横断歩道をほとんど見かけない
- 人と車とバイクとリクシャーと自転車と牛が入り乱れている
- 常にクラクションが鳴り響いている
- 車間距離などというものはない
- 車は基本、歩行者に道を譲らない
- 逆走は日常茶飯事
- 混雑した交差点(ラウンドアバウト)を渡るのは命がけ
このような有様なので、道を歩くときは常に気を張っていなければなりません。
具体的な対処法としては、
- 周りの流れに合わせて歩く
- クラクションは自分に向かって鳴らされない限り無視
- 道を渡るときは、同じように渡ろうとしている現地の人についていく
- 交差点(ラウンドアバウト)を渡るのは極力避ける
- 海外旅行保険に加入する(最重要!)
保険については↓の記事で詳しくお話ししています。
特に注意が必要なのは、やはり道を渡るときですね。
危ないと思ったら無理をせず、車が途切れるのを辛抱強く待つか、誰かについていく、迂回するなど工夫をしましょう。
インドの道路、あまりにも印象深すぎていくつか動画を撮ってきているので、以下よろしければどうぞ。イメージの手助けになるかもしれません。
動画のテストがてら、なんでもないインドの風景をひとつ。
デリーのホテルに向かう道中。
真正面から来る対向車とか、多少はインドらしさが垣間見られるかも。#manakainindia2017 pic.twitter.com/cykkPAomEE— 真中ユエ (@manakayue) October 24, 2017
タージマハルの敷地入口らへん。
振り返ってみると道の動画いっぱい撮ってる。
印象深かったんだなあ。#manakainindia2017 pic.twitter.com/6y1Tvf64s3— 真中ユエ (@manakayue) October 24, 2017
アグラの街を車窓から。
ここもタージの近くだったはず。
お供え物の屋台なんかがたくさん並んでます。#manakainindia2017 pic.twitter.com/R0GqK56QG9— 真中ユエ (@manakayue) October 24, 2017
ムガールサライ駅からヴァーラーナシーに向かう道中。
たくさん見えるトラックは石炭を運んでいるんだそう。#manakainindia2017 pic.twitter.com/rltPPG2fnU— 真中ユエ (@manakayue) November 1, 2017
水と食べ物
水道水は飲めません。ミネラルウォーターを買って飲みましょう。
細心の注意を払うなら、飲用水に加え、歯みがきの水もミネラルウォーターにすると安心です。
また、私自身は遭遇しませんでしたが、ペットボトルに水道水を詰めて売っている悪いお店もあるようです。購入時には念のため、栓が開いていないか確認するようにしましょう。
食べ物についてですが、インドの食事は素手で食べるものが多いです。
外国人向けのレストランなどではカトラリーも用意されていますが、チャパティやナンを食べるときはやはり手を使います。
除菌用のウエットティッシュを携帯し、食事の前には手を拭くよう心がけるとよいでしょう。
見落としがちなところとして、フルーツや生野菜などの過熱していない食べ物や、ジュースやラッシーなど、生水や氷を使った飲み物にも注意が必要です。
お腹が弱い人や、日程に余裕がないとき、体力が落ちているときは避けたほうが無難です。
なお、外国人向けのレストランでラッシーやジュースを飲む分には、少なくとも私の場合は問題ありませんでした。
ちなみに、屋台で飲み物を飲むならチャイがおすすめです。
沸かしてある分安心して飲めるし、なにより本場インドのチャイは絶品! ぜひ飲んでみてください。
病気と健康
健康面で注意すべきポイントの例は以下の通りです。
- 下痢(水と食べ物に気をつける)
- 風邪(疲れたら休む、スケジュールに余裕をもたせる)
- 熱中症(帽子を被る、水分を摂る)
- 狂犬病など、動物由来の病気(野生動物に近づかない、触らない)
- デング熱など、蚊由来の病気(虫よけを塗る)
インドに入国するにあたり義務付けられている予防接種はありません。
この辺りの情報は外務省のページが詳しく正確です。特に長期滞在の場合は必ずチェックしておきましょう。
衛生面については気になる人も多いと思うので、別途詳しい記事を用意しました。あわせてご覧ください。
スリ、ひったくり
日本人観光客が特に狙われやすいのがスリやひったくりです。
注意すべきポイント
- 荷物を置いてどこかへ行かない(レストランの席取りも×)
- 荷物を足元にポンと置かない(待ち時間や会計時など要注意)
- 荷物から目や手を放さない(写真を撮っているときなど要注意)
- ポケットに財布やスマホを入れない(抜き取られます)
- 寝台列車で寝るとき、荷物をその辺にポンと置かない(貴重品は抱えて寝ること)
どんなときも「自分たちはいいカモで、真っ先に狙われるタイプなんだ」と充分自覚して行動することが大切です。
バッグは背負わないものを
貴重品を入れるバッグは、リュックサックなどの背負うタイプは避けましょう。
目が十分に届かず、スリやひったくりに狙われやすくなるためです。
こちらの記事も参考にしてください。
寝台列車で大きな荷物は括りつける
寝台列車に乗るときは、スーツケースなどの大きな荷物はベッドと床の間のスペースに入れます。
それだけだと誰でも持って行けてしまうので、チェーンで荷物をベッドの脚に括りつけるなど工夫をしましょう。
(私はこれを忘れてなかなかスリリングな思いをしました。盗られなくてよかった……)
ぼったくり
タクシーやリクシャーのぼったくりに注意
空港で客引きをしているタクシーは避けましょう。ぼったくりに遭う、危険な場所に連れていかれるなどのリスクが高いです。
それ以外のケースでは、走り出す前に大体の値段を聞く、タクシーの場合はメーターが動いていることを確認するなどの用心を忘れないようにしましょう。
両替時のぼったくりに注意
見落としがちなポイントとして両替時のぼったくりがあります。
レートを見て自分で大まかに計算してから両替を行い、レシートの額と現金の額が合っているか、概算とかけ離れていないか、その場できちんと確認してからカウンターを離れましょう。
日本人はほぼ間違いなくふっかけられる
日本人が値札のない店で買い物する場合、ほぼ間違いなくふっかけられます。
インドの物価は非常に安いです。事前にガイドブックなどで大体の相場を調べておきましょう。
とはいえ、これはトラブルとしてのぼったくりというよりは自然な市場原理と言えます。
言い値ではなく、自分が納得する値段でものを買うよう心がけましょう。
価格交渉については↓の記事でもお話ししているので、ぜひチェックしてみてください。
外国人観光客向けのお店について
ツアーなどで外国人観光客向けのお土産屋さんに連れていかれることがあります。
こういったお店は通常の物価より明らかに高いですが、品質に信頼が持てる、安心して買い物ができる、日本語で対応してくれるなどのメリットもあり、一概にぼったくりとは言えません。
それを踏まえたうえでやはり高いと思ったら、無理に買わず、はっきりNOと伝えましょう。
インドのお土産事情についても↓の記事で詳しくご紹介しています。
知らない人からの声かけ
- 空港でガイドのふりをして話しかけてくる
- タクシーやリクシャーの客引き
- 道で突然声をかけてくる
- 観光地で案内してあげると言って近寄ってくる
- 食べ物や飲み物をすすめてくる
- 荷物を運んでくれと言われる
このように知らない人に気安く話しかけられた場合、まずは疑ってかかりましょう。
お金を要求されたり、危険な場所に連れていかれたり、犯罪に巻き込まれたりする可能性があります。
日本語で話しかけられることも多いですが、気を許さないように。
空港や観光地で起こりやすいトラブルなので、その点も気に留めておくとよいでしょう。
怪しいと思ったら無視してしまって大丈夫です。心を痛める必要もありません。
また、インドでは物乞いにも頻繁に話しかけられます。これについては後述します。
性犯罪
女性の場合、次のようなことに気を付けましょう。
- 夜道を歩かない
- 知らない人に声をかけられてもついていかない
- 宿に泊まるときは部屋の鍵を閉める
- できれば複数人で行動する
- 露出の少ない服装を心がける
ぴっちりと体の線が出るような服装も避けたほうがよいです。
具体的な服装の例を↓の記事でご紹介しています。「初めて行くから様子がわからない」という女性の方、必見です。
このように最低限守るべきことを押さえておけば、女性でも特別怖いことはありません。
私の場合、20代女性三人+男性ガイドさん一人で、上記のようなポイントに気をつけて旅行をしましたが、一度も身の危険を感じることはありませんでした。
宗教的・文化的マナー
お寺や火葬場など、宗教的な施設は撮影禁止、土足禁止、手荷物制限などのルールがあります。入口の案内や人の助言に従いましょう。
インドは宗教のるつぼで、ヒンドゥー教、イスラーム、キリスト教、仏教など、様々な宗教文化が混然と国を覆い、一方では調和し、一方では争っています。
- 挨拶
- 大切にしているもの
- 口にしないもの
- 異性との付き合い方
- ヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の対立
というような、それぞれの宗教の概観を大まかに知っておくとよいでしょう。
行けばわかりますが、本当に混沌とした土地柄なのでナーバスになる必要はありません。その場その場で真摯に学びとる姿勢があれば大丈夫です。
あらかじめ知っておいたほうがよいこと
その他、特に危険はないものの、あらかじめ知っておいたほうがよいポイントが二つあります。
- 物乞い
- 商人さんの押しの強さ
物乞い
インドでは、普通に道を歩いているだけで頻繁に物乞いに声をかけられます。
外国人観光客はお金を持っていると見なされるのでなおさらです。
デリーに到着し、空港を一歩出た瞬間からその洗礼を受けることでしょう。
初めて目にする光景にぎょっとすることもあるかもしれません。
信号待ちの車の窓をノックして回る人、大声でお金を要求しながらついてくる子ども、赤ちゃんを抱えて空の哺乳瓶を見せてくる女性、直視するのがはばかられるような無残な姿をした人……。
生活がかかっているので彼らも必死です。
しかし、こちらの身に危険が及ぶようなことはしてきません。目的はあくまで喜捨(施し)です。
ひとりひとりにお金を手渡そうものなら、あっという間に財布が空になってしまいます。それほどの頻度、それほどの人数です。
どう対応するべきか正解はありませんが、きりがないという現実を踏まえれば、基本は無視したり、はっきりNOと断ったりするのが妥当かもしれません。
私も基本的にはそのようなスタンスで、滞在最終日、使い切れず残ってしまった細かいお金を、穏やかに優しく声をかけてくれた女性に手渡しました。
商人さんの押しの強さ
大体どの店へ行っても商人さんの押しが非常に強いです。
こちらが迷惑そうにしていてもお構いなしにグイグイ商品をすすめてきます。はっきりNOと言っても、店の中にいる限り次々にすすめてきます。
遠慮のえの字もないしたたかさに、私を含め、日本人の多くは困ってしまうかもしれません。
とはいえ、悪徳でない普通のお店なら、NOと言っているものを無理に買わせるようなことはしてきません。
どんなにしつこくても「買いません!」という姿勢を貫いていれば大丈夫です。
慣れないうちは気疲れしてしまいますが、それもまたひとつの経験と思って割り切りましょう。
二つの自覚をもって行動しよう
以上が、五日間の旅行で私が実際に気を付けていたポイントになります。
結果、無事に楽しく旅行を終えることができました。
- 不慣れな土地に行くんだということ
- 自分は狙われやすい人間なんだということ
この二つを自覚して行動することが大切です。
また、現地ではどのようなトラブルが多いのか、事例を知っておくのも重要です。ガイドブックや外務省のホームページなどでチェックしておきましょう。
いざというときのために海外旅行保険に加入するのもお忘れなく。