2017秋・四泊五日北インド弾丸ツアー旅行記(ヴァーラーナシー・ガンガーの日の出編)
インド初心者向けに、同じ初心者目線から生の情報をお届けしている本ブログ。「お役立ち情報もいいけど、実際の旅の様子も知りたい」とのお声を受け、旅行記シリーズの連載を始めました。
八回目となる今回は、ガンガー(ガンジス河)の日の出をメインに、たっぷりの写真とともにお届けしていこうと思います。
この旅行記は複数記事にわたる続きものとなっています。第一回は下記のリンクからどうぞ。シリーズの概要、および旅の概要についてもあわせてご紹介しています。
前回の記事はこちらです。
四日目 @ヴァーラーナシー市街
いよいよ現地滞在最終日。ガンガーの日の出を見るため、夜明け前に行動を開始しました。
チャイ屋さん
ガートに向かう前にちょっと一服。昨日訪れたレモンチャイの屋台とはまた別の、ガイドさんおすすめのお店に案内していただきました。
昨日はレモンチャイという変わり種だったので、今日はオーソドックスないわゆるチャイを。飲み終わったら捨てるタイプの素焼きの器で出てきました。砂糖が入った状態で出されます。
お味は絶品!
チャイの本場ということはもちろん、ガイドさんおすすめのお店とあって間違いのないおいしさでした。旅行中、車内サービスや食後の一杯として何度も紅茶をいただき、どこで飲んでもおいしくてさすがだなあと思っていたのですが、ここに来て真打登場といった感じでした。
これから初めてインドに行かれる方はぜひともご賞味あれ! 現地の人のおすすめのお店とか、見るからに繁盛しているお店を選ぶとよいかと思います。
インドの紅茶については以下の記事で詳しくお話ししています。あわせてお楽しみください。
四日目 @ダシャーシュワメード・ガート
さて。あらためて、すっかりおなじみになったダシャーシュワメード・ガートに向かいます。
時刻は5:30頃。こんな朝早くに、もう多くの人でにぎわっています。
私たちのように日の出を見に来ている観光客もいますが、多くは巡礼で来ている人々です。朝に沐浴するのがメジャーなんでしょうか。昨日の昼間よりずっと多くの人が沐浴していました。
どこにでもいるのが当たり前すぎて、この日まで牛の写真を撮るのをすっかり忘れていました。のんびり穏やかそうな子がいたので失礼して。
この日乗ったのは昨日よりもずっと大きい、エンジンを搭載したボートでした。
私たち以外に日本人観光客が二名。船頭さんやガイドさんも合わせて、全部で10人ほどが乗り込みました。
出航までの間、花売りの男の子がお供えの花を売りにきてくれました。とてもきれいで可愛らしかったので銘々購入。
上でお花を買ったのとはまた別の花売りさんです。可愛い! 本当に絵になりますね。
満を持して、ガンガーの日の出を見に漕ぎ出します。
四日目 @ガンガー
日の出
早朝のガンガー遊覧。
ダシャーシュワメード・ガートの近く。#manakainindia2017 pic.twitter.com/HZqC9I8qDb— 真中ユエ (@manakayue) November 10, 2017
見る間に色彩を取り戻す景色。彼方まで連なるガート。思い思いに船に乗る人々。羽ばたく鳥と河の風。
とかなんとか感慨に浸っていたら突然のこれ。不意に日本語が目に飛び込んできてうろたえました。
どうやらバックパッカー界隈では有名な、伝説とさえ言われているゲストハウスのようです。40年以上の歴史を持つ、日本人宿の草分け的な存在なんだとか。
こちらはケーダール・ガート(Kedar Ghat)。ただでさえまっ黄色なのに、まばゆい朝日を浴びてそれはもう目立っていました。南インドと結びつきの強い寺院なんだそうです。
まっ黄色になったのは最近のことなんでしょうか。画像検索をすると、全面が赤と白のストライプで塗られた写真が多く出てきます。
船はさらに沖へ、沖へ。
そよそよと吹く風も、光も音も、心地よく染みこんできます。この旅行で一番好きなひとときでした。
ガンガーの真ん中に浮かびながら、美しい朝の景色を堪能。#manakainindia2017 pic.twitter.com/7WV6pI3Fd1
— 真中ユエ (@manakayue) November 10, 2017
お供えの花
ガンガーの真ん中あたりまで来たところで船はエンジンを止め、しばしの間のんびりぷかぷかと浮かんでいました。ここらでお供えの花を流すことに。
どれだけ天気が穏やかでも、河の上はやはり多少の風があります。
マッチの火が吹き消されてしまい、いつまでたってもろうそくに火をつけられずにいた私たちを見かねて、同船していた知らないお兄さんが代わりにつけてくれました。なるほど、船の底でやればよかったのか……! 名前も知らないお兄さん、ありがとうございます。
大きめのボートだったこともあり、船のへりから水面までの高さが結構あって手が届きませんでした。私の花はうまく浮かべられずにばらけてしまい、花とろうそくが別々に流れていってしまいました。逆によく無事だったな、ろうそく……。
「あっちが下流だったのか」とここで初めて知りました。それほどに穏やかで豊かな河です。
朝の景色
さて、そろそろまた移動していきます。進行方向はちょうど上の写真のほう、河の上流へ。
朝日を浴びて黄金色に輝くガートは本当に美しい。大好きな風景です。
土産物の商人さん
ふと、一艘の船がこちらに寄ってきました。
金色に輝くガート。
と、船を寄せて土産物を売りに来た、例の商魂たくましいおじちゃんズ。#manakainindia2017 pic.twitter.com/MP30NbBNoq— 真中ユエ (@manakayue) November 10, 2017
なんと河の上でビジネス。なるほどと感心してしまいました。旅行中なにかにつけて実感したのですが、インドの人々って本当に商魂たくましいです。
マニカルニカー・ガート
写真も動画もありませんが、遊覧の最後にマニカルニカー・ガート(Manikarnika Ghat)を見てきました。
火葬場のガートです。陸には上がらず、船の上から見学しました。もちろん撮影は禁止です。
白い布に包まれ、オレンジの布をかけられた遺体が担架で次々に運ばれてきます。オレンジの布を外してガンガーに浸し、最後の沐浴とします。
乾いたら薪の上で燃やします。近親者(喪主)が火をつけ、男性の親族が同席します。ガイドさん曰く、女性は声を上げて泣いてしまうので同席しないのだとか。遺灰はガンガーに流されます。
ヒンドゥー教徒にとって、人生の最後にガンガーに流されるのは至上の喜びなのだそうです。
上の記事でも少し触れましたが、ガンガーは河であると同時に神様であり、ガンガーに流されるということは神様に抱かれているも同然なのですね。
ガイドさんも「死んだらここに流されたい、でもどうなるかはわからないね」としみじみ語っていました。
マニカルニカー・ガートを見た後、川面に浮かぶ灰を見て物思いにふけりました。それまでは遺灰が浮いているのすら気付きませんでした。
ガンガーとの別れ
無数の人間、無数の動物、無数の命が、この豊かな河に魂を寄せたり寄せなかったりしながら、この地を目指し、祈り、沐浴をし、商売をし、見物をし、船に揺られ、空を渡り、死後に焼かれる。気の遠くなるほどの生き死にが繰り返され、また今日も日が昇る。
ひとつの河に遺灰を流し、祈りの花を流し、汚水を流し、ゴミを流し、身を浸し、洗濯をする。清く、濁り、輝きながら、すべてを抱いて流れていく。
ここに来なければ見えない景色が確かにありました。訪れて本当によかったです。
これにてガンガーの観光は終了。名残惜しみながら別れを告げたのでした。
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