実は紅茶の超本場!インド旅行でチャイとインド紅茶を楽しもう
突然ですが、あなたは紅茶と聞いたとき、真っ先にどの国を思い浮かべますか? イギリスをはじめとした欧米諸国をイメージする人が多いのではないでしょうか。
ではインドは? 紅茶とインドの組み合わせは、難なく繋がる人、ピンとこない人、両方いるかもしれませんね。
実は、紅茶とインドは切っても切れない深い関係にあります。実は紅茶の超本場なのです。インドに旅行に行くなら、紅茶は絶対に押さえておきたいポイントです。それはもう、スパイスやカレーと同じくらいに!
本記事では、2017年秋に初めてインドを訪れた紅茶好きの筆者が、
- インドと紅茶の関係について
- インドで親しまれているチャイについて
- 現地での紅茶の楽しみ方とお土産について
それぞれ詳しくご紹介していきます。インドに行ってみたい人、紅茶に興味がある人、インド旅行のお土産に悩んでいる人、必見です!
インドと紅茶の関係について
インドは世界一の紅茶大国
白磁のティーポットにティーカップ、焼きたてのスコーンを合わせて優雅に……といういわゆる紅茶の文化はご存知、イギリスが発祥の地です。ですが、紅茶そのものを生産しているのはイギリスではありません。あの紅茶は一体どこで作られているのでしょう?
実はそれがインドなんです。数ある生産国の中でも、インドは紅茶の生産量世界一を誇ります。(緑茶なども含めたお茶全体では中国が世界一、インドが第二位です)
しかもそれだけにとどまらず、インドは紅茶の消費量で見ても世界一なんです。(緑茶なども含めたお茶全体ではやはり中国が世界一、インドが第二位です。なお、国民一人当たりで考えた場合は順位ががらりと変わります)
つまり、インドは紅茶の最大の生産国にして最大の消費国なんですね。
インドの紅茶の歴史
そんな紅茶大国インドですが、実はその歴史は意外と浅かったりします。
インドで茶葉の栽培が本格化したのは19世紀のこと。イギリス国内で愛飲されていた紅茶を、イギリスが中国からの輸入に頼らず自らの植民地で自給するためでした。東インド会社が中国からの種子と苗木の密輸を手配したことで、インドでは中国種とインド原産のアッサム種の両方が栽培されました。
[出典:TEA BOOK: 完璧な一杯を淹れるためのテクニックを紹介-世界のお茶・基礎知識・文化・ブレンド・レシピ p.84]
20世紀初頭は、国内で紅茶を消費していたのは上流・中流階級くらいで、生産量の大半が欧米諸国に輸出されていました。茶葉の価格が手頃になり、インド国内の多くの消費者が紅茶を飲めるようになったのは、1950年代にCTC製法(P.21を参照)が発明されてからでした。
[出典:TEA BOOK: 完璧な一杯を淹れるためのテクニックを紹介-世界のお茶・基礎知識・文化・ブレンド・レシピ p.84]
紅茶の栽培が本格化したのが19世紀、インド国内で消費が本格化したのが20世紀後半。特に後者はかなり最近だなあという印象ですね。まだ100年も経っていないわけですから。
インドで生産されている紅茶
インド産の紅茶というと、メインどころはダージリンとアッサム、次点でニルギリなどが挙げられます。ダージリンやアッサムは特段紅茶好きでない人にとっても見覚え、聞き覚えのある名前ではないでしょうか。
これらはすべてインドの地名で、生産地がそのまま茶葉の名前になっています。
- ダージリン: インド北東部、ヒマラヤ山脈のあたり。紅茶のシャンパンと呼ばれる。
- アッサム: インド北東端、肥沃な渓谷地帯。力強い風味がミルクティーにぴったり。
- ニルギリ: インド南西部、冷涼な丘陵地帯。癖がなく飲みやすい。
生産量が多いのはダントツでアッサムで、実にインドの総生産量の50%を占めます。そしてその大半は国内消費に回されます。このあとご紹介しますが、濃厚でスパイシーなチャイはこの茶葉があってこその飲み物なんです。
ちなみにダージリンは知名度こそ高いものの、量としてはインドの総生産量のわずか1%程度なんだそうです。しかし逆に考えると、インドがどれだけ大量の紅茶を作っているかがよくわかりますね。大国すごい……。
チャイについて
チャイとは?
紅茶の生産のみならず、消費においても世界一を誇るインド。そのインドにおけるもっともポピュラーな紅茶の飲み方がチャイです。
インド人はたしかにお茶(チャヤとかチャイと呼ばれる)を彼らなりの飲み方で飲んでおり、お茶が大好きだ。たいていはミルクで煮出した濃い紅茶に、砂糖とカルダモン、フェンネル、ジンジャー、クローブなどのスパイスを入れて飲む。
[出典:世界の茶文化図鑑 p.54]
正確に言うと「チャイ」とは「茶」を意味する一般名詞で、特定の飲み方を意味するものではありません。ですがちょうど、日本でお茶と言ったら緑茶を指すのと同じように、インドではお茶と言ったらスパイス入りの甘いミルクティーを指すわけですね。
チャイのバリエーション
一口にチャイと言っても、そのありようは材料、配合、淹れ方、味に至るまで多種多様。これが正道!という基準があるわけでもなく、人の数だけレシピがあると言っても過言ではありません。
また前述のとおり、チャイは広い意味で「お茶」を指す単語なので、スパイス入りミルクティーのいわゆるチャイ以外の飲み物にもその名がついていたりします。
たとえばこちら、私がヴァーラーナシーのとある屋台でいただいたレモンチャイです。お茶の風味はかなり弱く(ひょっとしたら入ってないかも?)、レモンの酸味と甘みが容赦ない、どろり濃厚な飲み物でした。ちなみにホットです。
インド旅行で楽しむ紅茶
どういうところで飲める?
そんなわけで、インドに旅行に行くならぜひとも紅茶を楽しみたいところです。現地ではどのような場所で飲むことができるのでしょうか?
チャイの屋台
真っ先に挙げられるのが、街のそこかしこに存在するチャイの屋台です。チャイワーラーというそうで、私はヴァーラーナシー(バラナシ/ベナレス)の街中でいただきました。うろ覚えですが、確かガイドさんが「ヴァーラーナシーのチャイは特に美味しい」と言っていたような。
先ほどご紹介したレモンチャイのほか、スパイス入りミルクティーのいわゆるチャイもいただきました。
レモンチャイはグラスでしたが、こちらは素焼きの器で出てきました。飲み終わったら地面に捨てて土に還します(本当)。
ただでさえチャイの本場、しかもガイドさんおすすめのお店とあって格別においしかったです! 現地の人のおすすめだとか、お客さんがたくさん集まっているお店を選ぶと間違いないと思います。
レストラン
街中のレストランでもホテルのレストランでも、食後に必ずと言っていいほど紅茶が出てきます。
ストレートティーにミルクと砂糖を添えて出すパターン、もともとミルクと砂糖が入っているパターンなどいろいろです。スパイス入りのいわゆるチャイもあったかな?(記憶がおぼろですみません)
ひとつ確かなことは、どこで飲んでも大抵おいしいです。日本では、レストランで食後の紅茶を頼んだら色付きのお湯が出てきてがっかり……ということもしばしばですが、少なくとも私が旅行した中では、インドでそのような思いをすることはありませんでした。
特にアッサムなど、ミルクが合うような濃い味わいの紅茶が好きな人はかなり幸せになれると思います。
列車や飛行機
列車の車内サービスや飛行機の機内サービスでも紅茶が出てきます。こんななんてことない場面で出される紅茶までおいしいんだから侮れません。
たとえばこちらは、デリーとアグラを繋ぐシャターブディー急行(Shatabdi Express)のCC車両でいただいたお茶セットです。紅茶のティーバッグ、粉末ミルク、砂糖、ビスケットがトレーに載せられており、後からスタッフさんが熱湯をサーブしに来てくれます。(右上のカップはライムか何かのジュースで、お茶とは特に関係ないのでスルーしてください)
旅行で味わう紅茶としては脇役かもしれませんが、意外なおいしさにびっくりするかも。ぜひこんなさりげないシーンにも注目してみてください。
茶葉が欲しければ紅茶専門店へ
現地で楽しむ以外にもうひとつ忘れてはならないのが、本場の茶葉をお土産に買って帰ること! 繰り返しになりますが、インドは世界最大の紅茶の生産国です。そしてインドの物価は日本と比べて非常に安いです。つまり、フレッシュな茶葉をお手頃価格で手に入れる絶好のチャンスなんですね。
現地の紅茶専門店は、ガイドブックやネットで調べるといろいろ出てきます。有名どころを当たれば間違いないでしょう。それ以外にも、たとえばツアーで旅行に行くなら、ガイドさんに聞いておすすめのお店に連れていってもらうのも手です。
私が利用したのは、ガイドさんおすすめのTop Quali Teaという紅茶専門店です。
おそらく旅行会社と提携しているお店なのでしょう、流暢な日本語で接客してくれる外国人観光客向けのお店でした。ただしその分お値段は高めで、日本で買うよりリーズナブルだな、ぐらいの価格帯です。
「せっかくインドに来たんだから現地相場でしこたま買いたい」という人には不向きですが、「最初のうちは多少高くても間違いのない場所で安心して買い物がしたい」という人にはおすすめです。
こちらがお店で購入したマサラチャイです。アッサムのCTC(細かく砕かれて粒状に丸く成形された茶葉)にクローブ、ジンジャー、シナモン、グリーンカルダモン、ブラックペッパー、スターアニスがブレンドされています。淹れ方のしおりがついてくるので初めての方にもおすすめです。
もうひとつ、こちらはお店で購入したダージリンのファーストフラッシュです。これよりさらに格上の最高級ダージリンも試飲させてもらいましたが、さすがに手が届かなかったのでこちらで手を打ちました。十二分においしいです。パッケージが綺麗なのでプレゼント用にもぴったりですね。
上記二つはたまたまどちらもルースティー(ばら茶)ですが、ティーバッグの取り扱いももちろんあります。
関連リンク
いかがだったでしょうか? インド紅茶について、初心者目線でありったけの情報をお届けしてみました。この記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。
余談ですが、インドに限らず紅茶そのものに興味がある方は、ぜひ以下のブログも覗いてみてください。私が運営している姉妹ブログで、趣味の紅茶についてゆる~くあれこれご紹介しています。よろしければあわせてお楽しみください。