2017秋・四泊五日北インド弾丸ツアー旅行記(サールナート編)

2018年11月14日旅行記

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修行中のお坊さんとダメーク・ストゥーパ

インド初心者向けに、同じ初心者目線から生の情報をお届けしている本ブログ。「お役立ち情報もいいけど、実際の旅の様子も知りたい」とのお声を受け、旅行記シリーズの連載を始めました。

九回目となる今回は、仏教の初転法輪の地・サールナートをメインにお届けしていこうと思います。

この旅行記は複数記事にわたる続きものとなっています。第一回は下記のリンクからどうぞ。シリーズの概要、および旅の概要についてもあわせてご紹介しています。

前回の記事はこちらです。

四日目 @ホテル プラザ・イン

ガンガーの日の出を堪能した一行は、いったんホテル プラザ・イン(Plaza Inn)に戻って朝食をとり、荷物をまとめてチェックアウトしました。

四日目 @バナーラス・ヒンドゥー大学

時刻は朝の7:00頃。今日のメインはヴァーラーナシー近郊の仏跡・サールナートですが、その前にちょっと立ち寄りたい場所がありました。バナーラス・ヒンドゥー大学です。

インドを代表する権威ある大学だそうで、キャンパスの広大さは上の地図でおわかりいただけるかと思います。カオス極まるヴァーラーナシーにおいて、半円形に整然と区画分けされた敷地は異質なほど目を引きますね。

実際、キャンパス内も大学らしく穏やかで広々としており、街中とは別世界のようです。

学生のデモ

実は昨日こちらを観光しようとした際、学生のデモが行われていて入口が封鎖され、入場することができませんでした。

以下の記事で、ちょうどモディ首相が街を訪れる日だったという話をしましたが、やはりそれに合わせてのことなんでしょうか。

今日はどうかなということで再挑戦してみたところ、やはりデモが続いており諦めかけたのですが、学生が固めているのは正門だけだったので、北側の入口から無事入ることができました。

広大な敷地を専用車で走りながら、ガイドさんに説明を受けつつ、目的地に向かいます。

ヴィシュワナート寺院

それがこちら。バナーラス・ヒンドゥー大学のキャンパス内にあるヴィシュワナート寺院です。

以下の記事でもご説明した通り、ヴァーラーナシーには二つのヴィシュワナート寺院が存在します。ひとつはヴァーラーナシーの中心地ともいえるエリアに位置する通称黄金寺院、もうひとつがこちらの白い寺院です。

バナーラス・ヒンドゥー大学内のヴィシュワナート寺院 入口
ヴィシュワナート寺院の入口。

門の下でお供えの花が売られていますね。

バナーラス・ヒンドゥー大学内のヴィシュワナート寺院
白いほうのヴィシュワナート寺院。

ガート近くにある同名の黄金寺院(→P.233)とは違って、出入り自由なので足を運んでみよう。静かで風が通るので居心地がいい。夕方などに行くと感じのよい寺院だ。

[出典:D28 地球の歩き方 インド 2017~2018 p.235]

常に巡礼者でごった返し、熱がこもり、宗教的にも厳格な黄金寺院とは対照的な雰囲気ですね。

時間の都合上、寺院の前で記念撮影だけして内部は見学しませんでしたが、こうして振り返って記事を書いていると、今更ながら気になってしまうのでした。

四日目 @ムルガンダ・クティ寺院

大学を離れた一行は、舗装の悪いでこぼこ道を走りながら、今日の観光のメインたるサールナートに向かいます。

サールナート(Sarnath)というのは地名で、ヴァーラーナシーの中心部から北に10kmほど行ったところにあります。ブッダが初めて教えを説いた初転法輪(しょてんぼうりん)の地で、仏教の四大聖地のひとつとされています。

サールナートにある様々な見どころの中から、まずはムルガンダ・クティ寺院(Mulgandha Kuti Vihar)を訪れました。

寺院

ムルガンダ・クティ寺院 外観
ムルガンダ・クティ寺院に至る道。
ムルガンダ・クティ寺院 入口
ムルガンダ・クティ寺院の入口。

靴を脱いで裸足になってから入ります。内部の撮影は禁止されています。

中に入ると、正面にご本尊があり、ほか三方の壁いっぱいに絵が描かれています。ブッダの一生を描いたものですが、この絵、なぜだか妙に親近感を覚えてやみません。ここは海外のはずなのに、なじみがあるというか、どことなくマンガっぽい線をしているような……。

それもそのはず、ここの壁画は日本人画家の野生司香雪(のうすこうせつ)が描いたものなのです。事前知識なく不思議に思っていたところにそのことを教えられ、目の覚めるような思いがしました。

日本画とかマンガとか、日本の絵が好きな人はぜひ行ってみてください。遥かインドの地でこの雰囲気に出逢うとは……!と不思議な気持ちになりますよ。

モニュメントのエリア

寺院の脇にあるちょっとしたスペースです。正式名称がわからないのでとりあえず「モニュメントのエリア」としておきました。

ムルガンダ・クティ寺院の近くにあったマニ車
マニ車を発見。

回転させるとその分だけお経を唱えたことになるというあれですね。

初転法輪のモニュメント
初転法輪のモニュメント。

ブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開いた後、ブッダはこのサールナートの地に赴き、かつてともに苦行に励んだ五人の修行者に向けて、自らの悟った真理を初めて語りました。その様子を表したモニュメントですね。

モニュメントの後ろに木が生えていますが、これはブッダガヤの菩提樹の子孫なんだとか。本来の菩提樹は仏教弾圧の際に切られてしまったが、挿し木によって各地に子孫が残っている、ということなのだそうです。

四日目 @ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト

ダメーク・ストゥーパを抱える遺跡公園です。かつて多くの修行僧がこの聖地に集い、僧院を建て、ここに暮らしていたといいます。アショーカ王の石柱の一部も残っています。ダメーク・ストゥーパとアショーカ王の石柱については、後ほどそれぞれ詳しくお話しします。

街中の喧騒が嘘のように静まった穏やかな場所です。ガイドさん曰く、雰囲気がとてもよいので、現地の人々のデートスポットにもなっているんだとか。

遺跡の風景

ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
赤レンガの僧院の跡が広く遺されています。
ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
青々とした芝生がとても穏やか。
ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
広い公園を右回りにぐるっと一周していきます。

修行僧のいる風景

サールナートの遺跡の木陰で修行中のお坊さん
菩提樹の木陰に修行中のお坊さんを発見。
修行中のお坊さんとダメーク・ストゥーパ
ダメーク・ストゥーパのほうを向いて静かに座っています。
修行中のお坊さんとダメーク・ストゥーパ
今朝までの喧騒が嘘のような、穏やかなひととき。

遺跡の風景

サールナートの遺跡で見つけた黄色い花
鮮やかな黄色い花を発見。

公園を散策中、友人がしきりに花を撮影していました。

友人

友人

インドってもっと砂漠みたいなイメージだったけど、意外と緑が豊かだよね。

確かに、灼熱の日差しに絶えず焼かれ、埃っぽく乾燥した土地柄ではありますが、植物はもりもり生えていますね。

ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
遺跡の赤と植物の緑のコントラストがきれい。
ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
かつてアショーカ王の石柱がそびえていた場所。

ちょっと遠目からの撮影で恐縮ですが、上の写真の中央、右から通路が伸びた先に東屋のようなものがありますね。ここにアショーカ王の石柱の基部が遺されています。

この一帯はやはり仏教弾圧の際に破壊されてしまったのでしょうか。アショーカ王の石柱も根元からぼっきりと折られています。その根元の部分が上の東屋の中に遺っているんですね。

では、柱の上の部分は? それは後ほど、考古学博物館の項にてお話ししたいと思います。

ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
わからないけど、何かの通路。
ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
暑い……。影の色から日差しの強さをご想像いただければ。
ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
ここまでで大体半周。

鹿公園

突然、警備のおじさんに呼び止められました。ヒンディーなので何を言っているかわかりませんが、ちょっと語気が強いような……。

自分

自分

(もしかして、入っちゃいけない場所に入っちゃってた!?)

公園内は明確な仕切りがないため、いいかどうかは別として、その気になれば赤レンガの遺跡部分にも踏み込めてしまいます。

慌てて謝りながら警備員さんのほうに向かうと、なにやら様子がちょっと違うようです。公園の敷地を取り囲む柵のところで手招きしています。「???」と思いながら寄ってみると……。

鹿公園のシカを呼び寄せて見せてくれた警備員さん
柵の向こうに手を出している?
鹿公園のシカに草をあげる警備員さんの手
草?

柵の向こうのフェンスにわしゃわしゃと草を詰めています。

するとフェンスの向こうから何頭もの鹿が! 草をはみにぞろぞろと寄ってきました。写真に撮れていないのが残念ですが。

ここサールナートは、かつては鹿野園(ろくやおん)と呼ばれる鹿の多く住む林で、ブッダはここで最初の説法をしました。なので鹿はある種、仏教のシンボルともいえる動物なんですね。

つまり警備のおじさんは、柵の向こうの鹿に気づかず通り過ぎようとしている私たちを、親切に呼び止めてくださったんですね。優しすぎる……おじさんありがとう……!

ダメーク・ストゥーパ

ダメーク・ストゥーパは6世紀に建てられた仏塔で、サールナートを代表するスポットです。

逆光のダメーク・ストゥーパ
公園内にでんとそびえるダメーク・ストゥーパ。

初転法輪がなされたまさにその場所に、信仰の中心として建てられたといわれています。

ダメーク・ストゥーパ
非常に存在感があります。
ダメーク・ストゥーパの下で祈る人々
ストゥーパの下には熱心に祈る人々の姿が。
ダメーク・ストゥーパ・モニュメントサイト 遺跡の風景
ストゥーパの前を通り過ぎ、入口に戻ります。

以上、穏やかな遺跡公園の風景でした。

四日目 @考古学博物館

公園から道を挟んで向かい側に考古学博物館があります。サールナートで出土した数々の遺産が展示されています。

手荷物制限あり、館内は撮影禁止。サクッと見て回れるコンパクトな博物館ですが、国家レベルの極めて重要な宝物を多数所蔵しており、見ごたえがあります。

入ってすぐの真正面にどんと展示されているのが、アショーカ王の石柱の柱頭。「アショーカの獅子柱頭」で検索すると、ああこれか!となると思います。インドの国章になっており、ルピー札にも印刷されています。柱の基部は公園に、柱頭はこの博物館に保存されているんですね。

その他、初転法輪像をはじめ、仏教関係の出土品が非常に美しい状態で展示されています。

館内はとてもきれいで静か。落ち着いて見学できるので、仏教に興味のある方、日差しを避けてのんびり観光したい方はぜひ行ってみてください。

(↓続きはこちら)

2018年11月14日旅行記

Posted by 真中ユエ