海外旅行でスマホを使うには?5つの方法とWi-Fiレンタル体験談
2017年秋、筆者は初めてのインド旅行に行ってきました。
その準備段階で頭を悩ませたのが「現地でスマホを使うにはどうしたらいいんだろう?」ということ。海外でスマホを使ったら知らない間にパケ死、高額請求!などの怖い話もよく耳にしますよね。
この記事では、
- 海外旅行でスマホを使いたい。どんな方法があるの?
- 音声通話とデータ通信で違いはあるの?
- 格安SIMの場合はどうなるの?
- 海外用のレンタルWi-Fiって実際に使えるの?
以上のようなことを、私自身の体験談とともにご紹介していきます。
私が行ったのはインドですが、インドに限らず海外旅行全般に役立つ情報になっているかと思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
使用条件をはっきりさせよう
「海外旅行でスマホを使う」といっても、用途や条件は人によってバラバラです。ということはつまり、ベストな方法も人によって変わってきます。なにがなんだかわからないよ~!と焦る前に、まずはあなた自身の使用条件をはっきりさせていきましょう。
行先は?
とにもかくにもまずはこれ。行先の国名および地名を確認しましょう。どんな方法でスマホを使うにしても、サービスの対応エリアや通信状況は必ずチェックすることになるので、真っ先に確認しておきたいポイントのひとつです。
私の場合、国はインド、行先はデリー、アグラ、ヴァーラーナシー(バラナシ/ベナレス)でした。
期間は?
次に、海外でスマホを使用する期間を確認しましょう。数日間の小旅行と数週間以上の長期滞在では、おすすめの方法もがらりと変わってきます。
私の場合は4泊5日の小旅行でした。
用途と頻度は?
- 緊急時に電話ができるようにしておきたい
- Google Mapを使いたい
- 写真や動画を撮りたい
- ネットで調べものをしたい
- SNSを使いたい
- 動画やゲームなど、大容量のコンテンツを利用したい
というように、何のために使うのか、使用頻度はどれくらいかを確認しましょう。緊急時にだけ使いたい人と、日本国内と同じ感覚で使い倒したい人では、ベストな方法が変わってきます。
私の場合、用途は以下のような感じでした。
- 緊急時に電話やメールで連絡したい
- 写真や動画を撮りたい
- SNSを使いたい
- 必要に応じてネットで調べものをしたい
- 必要に応じてGoogle Mapを使いたい
使用頻度は「普段と同じようにガンガン使えなくてもいいけど、必要なときに使えなきゃ困る」といった具合でした。
音声通話? データ通信?
用途をはっきりさせたところで、それが音声通話とデータ通信のどちらなのかを確認しましょう。大雑把にいうと以下のような感じです。
- 音声通話
- 電話やSMS
- データ通信
- 音声通話以外の通信、LTEやWi-Fiを使ってネットに繋ぐこと
- どちらでもない
- 写真や動画の撮影、アラームなど、通信を必要としないもの
どちらでもない場合、海外でも特別気にすることはなく、普通にスマホを持参するだけで使えます。ただし、うっかり不要な通信をして高額請求!ということにならないよう注意しましょう。「国際ローミングを利用する」の項もあわせてご覧ください。
私の場合、音声通話とデータ通信、両方とも必要でした。
スマホの契約内容は?
docomo, au, SoftBankなどのキャリアと契約したスマホの場合、
- SIMロックが解除されているか
- 行先が国際ローミングのサービスエリアになっているか
MVNO各社と契約した格安SIMを使用している場合、
- SIMフリー端末かどうか
- 国際ローミングのサービスの内容がどうなっているか
- 行先が国際ローミングのサービスエリアになっているか
このようなことを中心に、スマホの状態や契約内容を調べてみましょう。この時点では、各用語の意味がよくわからなくても大丈夫です。まずはスマホの状態や契約内容だけ、明らかにしておいてください。
私の場合は以下のような状況でした。
- BIC SIM(≒IIJmio)の音声通話付き格安SIMを使用
- SIMロックがかかった白ロム端末を使用
- IIJmioの国際ローミングは音声通話のみ、データ通信不可
- 行先は国際ローミングのサービスエリアに含まれる
語学力は?
自分の語学力を今一度確認しておきましょう。
たとえば海外でスマホを使うのに、現地でプリペイドSIMを買うという方法があります。その場合、現地の言葉で申し込み手続きをし、自力でスマホの設定をする必要があります。そういった状況に対応できそうかどうか、イメージを巡らせてみましょう。
私の場合、右も左もわからない土地で英語で交渉・契約・設定をして……というのは、言葉的にも技術的にも時間的にも無理があるなという状況でした。
海外旅行でスマホを使う5つの方法
使用条件がはっきりしたところであらためて、海外旅行でスマホを使う(通信をする)にはどんな方法があるのか、ざっくり5つほど見ていきましょう。
国際ローミングを利用する
スマホの契約先が提供する国際ローミングサービスを利用する方法です。国際ローミングとは、ものすごく大雑把にいうと「料金は割高だけど海外でもそのまま使えるよ!」というサービスです。
事前準備
特別な手続きをしなくても利用できるケースが多いですが、念のため、契約先のサイトを見るなどして使用条件を確認しておきましょう。
使い方
音声通話は、何もしなくてもそのままで利用できます。データ通信は、電波の飛んでいる場所でモバイルデータ機能をオンにすれば使えます。
注意事項
国際ローミングで利用できる機能は契約先によって異なります。行先が国際ローミングのサービスエリアに含まれているかどうかも要チェックです。
たとえば、私が契約しているBIC SIM(≒IIJmio)だと「音声通話機能付きSIMカードなら海外で音声通話とSMSが利用できる。ただしデータ通信は不可」となっています。サービスエリアはdocomoに準じており、行先のインドは対象範囲内となっていました。
つまり「国際ローミングで音声通話はできる。でもデータ通信ができないからそのための方法を探そう」といった具合ですね。
料金体系についても、料金が発生する条件、定額制になる条件、一日当たりの金額、音声通話の金額など、しっかり確認しておきましょう。そうでないと、意図せず従量制が適用されて高額請求!というようなトラブルもあり得ます。
なお、国際ローミングは音声通話が利用できる唯一の方法です。(LINEやSkypeなどの通話機能、050plusなどのIP電話は除く。これらはデータ通信に含まれます)
こんな人におすすめ
どうしても割高な料金設定になるため、短期滞在の人、かつキャリアと契約している人向けの方法です。
Wi-Fiスポットを利用する
空港、カフェ、ホテル、商業施設などのWi-Fiスポットを活用する方法です。
事前準備
渡航前の特別な手続きは必要ありません。
使い方
Wi-Fiが飛んでいる場所でWi-Fi機能をオンにし、指示通りに操作して接続します。接続の方法や料金はWi-Fiスポットによって異なるので、都度確認しましょう。
注意事項
日本国内でもおなじみのシンプルな方法ですが、デメリットはやはり場所が限られること。
速度の安定性や接続のしやすさ、セキュリティなどにもばらつきがあり、フリーのWi-Fiスポットがあったとしても利用できるとは限りません。
たとえば、私がインド旅行中に問題なく接続・利用できたのは、デリーで泊まったホテルのフリーWi-Fiだけでした。
こんな人におすすめ
使えるときに使えればいい、ないならないで別に構わないという人や、可能な限り通信にお金をかけたくない人向けの方法です。
海外用モバイルWi-Fiルータをレンタルする
海外で使えるモバイルWi-Fiルータをレンタルする方法です。グローバルWiFi、イモトのWiFi、Wi-Ho!、jetfiなど、レンタル事業者は多岐にわたります。
事前準備
通常、事前に申し込み手続きを行い、出発当日に空港でルータを受け取り、渡航先で電源を入れて使用するという流れになります。それ以外の方法、たとえばルータを出発当日より以前に受け取ったり、渡航先で受け取ったりするパターンもありますので調べてみましょう。
使い方
渡航先でルータの電源を入れ、スマホのWi-Fi機能をオンにし、ネットワークを選択し、パスワードを入力して接続します。詳しくは各事業者のサイトや説明書を参照してください。
注意事項
料金は事業者やプランによってさまざまです。通信量、行先、日数、補償の有無などの諸条件によって決まってくるので、よく比較して自分にぴったりの方法を選ぶとよいでしょう。
メリットとしては、
- 国際ローミングによるデータ通信より安く済む場合が多い
- 場所に縛られることなく使える
- 同行者とシェアできる
デメリットとしては、
- Wi-Fiルータという荷物が増える
- どこでも使えるが売り文句だが、どこでも使えるとは限らない
といったことが挙げられます。
デメリットの二番目は結構重要で、ルータ自体はどこにでも持ち運べるけれど、持ち運んだ先で繋がる保証はないということです。行く先々ずっと圏外で使えないということもあり得ます。そして、そうなる可能性が高いかどうかを事前に知るすべはほぼありません。
このデメリット、よそのサイトではあまり教えてくれないかもしれません。モバイルWi-Fiレンタルサービスを売り込みたいサイトや、使ったことがないのに一手段として紹介しているサイトでは絶対に教えてくれないでしょう。また、実際に利用したことがある場合も、運よく快適に使えたならこのデメリットには気づかないでしょう。
しかし、私は身をもってこのデメリットを体験しました……。詳しくは「海外用モバイルWi-Fiルータをレンタルしてみた結果」の項でご説明します。
こんな人におすすめ
場所にとらわれずデータ通信がしたい人、日本国内で契約を済ませておきたい人、思うように繋がらないというリスクも踏まえつつ、ないよりはあったほうがよいと割り切れる人におすすめです。
現地でSIMカードを買う
現地到着後、空港や街中でSIMカードを買い、自分のスマホに差して使う方法です。(※筆者はこの方法は未経験です)
- SIMフリーのスマホ
- 現地で申し込み手続きをする語学力
- SIMカードの抜き差しや各種設定を自力でやるスキル
以上の三点が必要になります。ハードルは高めですが、おそらく最もスマートで経済的だろうと思われます。長期滞在の人、上の条件が揃っている人向けの方法です。
私自身はというと、
- スマホにSIMロックがかかっている
- 語学力にも技術力にも自信がない
- 申し込みや設定のための時間が確保できるかわからない
などの理由で、今回はこの方法はスルーしました。また次の機会、そう遠くないうちにぜひチャレンジしてみたいです。
海外用のSIMカードを日本で買う
現地で使えるSIMカードを日本で買っておく方法です。(※筆者はこの方法は未経験です)
サービスとしては、たとえばIIJmioの海外トラベルSIMなど、各社で様々なプランが提供されています。
「現地でSIMカードを買う」方法から、語学力と技術力のハードルを取り払った形ですね。
価格が経済的かどうか、現地で問題なく繋がるかどうかなど、使ってみないとわからない部分は多いですが、SIMフリーの端末を持っている人は候補のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
海外用モバイルWi-Fiルータをレンタルしてみた結果
海外でスマホを使うための5つの方法をご紹介してきましたが、ここからはそのうちの「海外用モバイルWi-Fiルータをレンタルする」方法について、筆者の体験談をお送りします。
ことわりがき
以下は、私が2017年秋のインド旅行にて、海外用モバイルWi-Fiルータを実際にレンタルした体験談になります。
具体的なサービス名を出しつつ、主にデメリットを述べていきますが、当該サービスを非難する意図のないことはあらかじめご承知おきください。あくまでひとつの実例として参考にしていただければと思います。
利用した経緯
- 四泊五日のインド旅行で音声通話とデータ通信を使いたい
- 音声通話はMVNOの国際ローミングでOK
- データ通信は国際ローミングでは使えない
- SIMフリー端末じゃないからSIMカードを買う方法は使えない
- Wi-Fiスポットに頼るのも心もとない
- じゃあWi-Fiルータレンタル一択か
という流れで、海外用のWi-Fiルータをレンタルすることにしました。比較検討した結果、フォートラベル GLOBAL WiFiの「インド 4G LTE」というプランを利用することにしました。
実際に使ってみた:一日目
機材の使い方や各種設定も確認して準備万端。デリー空港(インディラ・ガンディー国際空港)に到着後、ニューデリーのホテルに向かう道中で早速利用してみました。
おお~、繋がった! 速さは問題なし。TwitterもGoogle Mapもゲームもできる。同行の友人たちとシェアもできる。いい感じ。
この時点ではすこぶる快適に使えており、なにも不満はありませんでした。
実際に使ってみた:二日目
翌日早朝、ホテルを出発してニューデリー駅へ向かう間も問題なく利用できました。出だしがよかったのですっかり安心していたのですが、移動した先のアグラにて。
あれ? 繋がらなくなった。
ルータの画面には「No Service」と表示されるばかり。
もちろんこんなこともあろうかと、電源を入れなおしたり場所を変えたり時間を置いたり通信量の確認をしたりと、思いつく限りのトラブルシューティングをしたものの状況は変わらず。
カスタマーサポートを受けようにも、ネットが使えないとなると電話をするしかない。しかし、国際ローミングによる音声通話は非常に高額。
せっかくインドに来ているのに、こんなことに時間や意識を割くのはもったいない……。まあ、そのうち繋がるようになればラッキーかな。
ということで、早朝以降ネット環境が完全に断たれた状態で二日目が終了しました。
実際に使ってみた:その後
寝台列車で夜通し移動し、三日目はヴァーラーナシーへ。
あまり期待しないようにしていましたが、案の定、モバイルWi-Fiは「No Service」で繋がらないままでした。その後もちょくちょくトラブルシューティングを試みたのですが、残念ながら音沙汰なく。
そのまま、ついに帰国まで一度も繋がることはありませんでした。
結論:ほとんど使えなかった
そんなわけで、4泊5日のインド旅行でモバイルWi-Fiが利用できたのは、まさかの初日と翌早朝のみ。都市部にいる間だけ、時間にして12時間程度しか使えませんでした。旅行中の大半は(データ通信的な意味で)音信不通だったということになります。
それでも料金は5日分きっちりかかりますので、結果論ではありますが、たった半日使うために2,500円を支払ったということになってしまいました。
通信状態の不安定さは覚悟していたつもりですが、よもやこれほどとは……。正直なところ、さすがにちょっとこれはどうなんだと感じてしまいました。
しかし、それもこれもやってみなければわからないところ。実際に使って結果を得られた、勉強になったという意味では決して無駄になりませんが、次はもうないだろうなあと思っています。
海外用モバイルWi-Fiルータのレンタルを検討している人はぜひ、旅行中ほとんど繋がらないというトラブルも起こりうるということを踏まえておいてください。そのうえで「たとえほとんど使えなかったとしても、一手段としてあったほうがいい」と思ったら利用してみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか? 海外旅行でスマホを使う5つの方法、および、海外用モバイルWi-Fiルータのレンタルの体験談をお送りしてきました。
- まずは使用条件をはっきりさせる
- 海外旅行でスマホを使う方法はいくつかある
- 使用条件によっておすすめの方法が異なる
- 思いがけない高額請求を避けるため、各サービスの注意事項はしっかり確認する
- どの方法を選んでも、慣れない土地での利用には常に不確実性がつきまとう
これらを充分に踏まえたうえで、ベストな方法を探してみてくださいね。あなたの旅が快適なものになりますよう、心より願っています!