インドに行くと人生が変わる?多趣味オタクの20代女性が実際に行ってみた話
誰が言い出したのかわかりませんが、「インドに行くと人生観が180度変わる」という評判をよく耳にします。かくいう私も「人生のうちで必ず、できればなるべく若いうちに行かねば」と、使命感めいた思いをずっと持ち続けていました。今となってはその理由もきっかけも曖昧にしか思い出せないのですが……。
本記事では2017年秋、長年想い続けていたインドをついに訪れた筆者が、実際に行ってみてどうだったのかをのんびり振り返ります。
- 「インドに行くと人生が変わる」は本当なのか?
- 訪れる前後で何がどう変わったのか?
- インドに行って何を得たのか?
等々、ゆるく気ままに語っていこうかと思います。いつもと異なるテイストの記事ですが、ぜひエッセイ的な読み物としてお楽しみください。
はじめに:筆者のあらまし
本題に入る前に、参考までに、私がどういった人間なのかを簡単にご紹介しておきたいと思います。
- 20代女性、日本人
- 神奈川県生まれ、神奈川県育ち、神奈川県在住
- 四大卒 → 会社員2年 → ニート1年 → 個人事業主4年目
- ブログやイラストや物語を個人で企画制作するクリエイター
- アニメ、マンガ好き
- ネット好き
- お茶好き
- 海外旅行好き
- エスニック好き
- キャンプ、スキー好き
- 考えるのが好き
ざっくりまとめると、興味関心しっちゃかめっちゃか系多趣味オタクです。
前は言語オタクでもありました。英語、中国語、イタリア語、スペイン語、アラビア語、ドイツ語、ロシア語、ウイグル語、はては架空言語まで。どれひとつとしてまともに話せるものはありませんが、高校から大学あたりまで、ひたすら興味に任せて学んでいました。
大学でアラビア語、そしてイスラームに触れ、人生観ががらりと変わりました。信仰とはなんぞや、宗教とはなんぞやということを自分事として真剣に考え抜いたものの、いまだ立場を確立できずふわふわしています。
なじめない大学生活、からの肌に合わない会社員生活がたたってうつになり、たっぷり数年苦しんだのち、ゆるやかに回復して今に至ります。人生は今なお軌道に乗らず、試行錯誤、悪戦苦闘中です。
なぜインド?
そんな自分がなぜ、長年インドに想いを寄せていたのか。冒頭にあるとおり、理由もきっかけも今となっては判然としません。というか、もともとそんなに具体的でもなかったように思います。
ただ、インドに対してなんとなく次のような期待を抱いていました。
なんかすごそう
いきなり頭悪い感じで恐縮ですが、漠然とそう思っている人はきっと多いんじゃないでしょうか。
インドと言ってパッと思い浮かぶ印象は、たとえば私の場合、
- 暑い
- 広い
- 人が多い
- カレー
- ボリウッド
- 仏教
- ヒンドゥー教
- ヨガ
- オレンジ色
- カラフル
- パワフル
- 混沌
などですが、なんかこう、エネルギーに満ち満ちたイメージがあるんですよね。
ヒト、食、自然、色彩、信仰――。あらゆる面で尋常ならざるパワーを抱えているような、そんな印象があります。
いろんな意味で日本と真逆
そういった「なんかすごそう」というイメージをさらに際立たせているのが、日本と比べたときの違いの多さです。
- 国土
- インド大きい ⇔ 日本小さい
- 人口
- インド多い ⇔ 日本少ない
- カラーイメージ
- インド原色 ⇔ 日本中間色
- 性格
- インド大胆 ⇔ 日本控えめ
- 衛生観念
- インド大雑把 ⇔ 日本神経質
- 品質
- インド大雑把 ⇔ 日本神経質
- 味覚
- インド大胆 ⇔ 日本繊細
違うというより、もはや対照的。
間違いなく日本にないものがそこにある。行けば必ず世界が広がる。そんなぼんやりとした、しかし確信に近い期待がありました。
カルチャーショックを受けそう
上の「いろんな意味で日本と真逆」というのから派生して、インドに行ったら良くも悪くもカルチャーショックを受けそうだと思っていました。実際、その手の評判も非常によく耳にします。
- とにかく人がひしめいている
- 道端に牛がいる
- 街がカオス
- 交通機関が派手に遅れる
- トイレットペーパーがない
- 極めてテキトー
- 貧富の差が激しい
- 物乞いが多い
- 衛生状態が悪い
- マナーが悪い
……なんというか、想像しただけでも心が休まる気がしませんよね。どこもかしこも強烈な刺激で溢れかえっていそうです。
行かずに一生を終えるなんてありえない
日本や欧米とはまったく異なる価値観で回っている国。自分の常識外の何かで溢れている国。凝り固まった思いこみや息の詰まるような閉塞感を、いともたやすくぶち壊してくれそうな国。
そんな環境に飛びこんだらいったい何が起きるんだろう。何を発見し、何に気づくんだろう。それを知らずに一生を終えてしまうなんてありえない。
あくまで私自身についての話ですが、そんなふうに思っていました。だから「絶対に、できればなるべく若いうちに」と使命感めいた気持ちを抱えていたんでしょうね。
「人生変わる」は本当?
というわけで、お待たせしました。本題です。「インドに行くと人生が変わる」という噂は本当なのでしょうか。
私個人の答えは「その人次第」です。
それだけだと拍子抜けなので補足すると、「インドがあなたの人生を変えてくれるわけではない。インドはただ、ここにしかない体験を怒涛のごとくもたらしてくれる。それをどうするかはあなた次第」という感じです。
インドは体験の宝庫
インドを歩いていると、日本では決して出会えない体験の数々に遭遇します。それは美しかったり、ショッキングだったり、圧倒的だったり、面白かったり、考えさせられたり、実にさまざまです。
十代後半の多感な時期にこの地を訪れたら、ちょっとどうなっていたか想像がつきません。あまりにいろいろ起こりすぎて、受け止めきれずにオーバーヒートしてしまうんじゃないかな……。
そのくらい鮮烈な体験を嵐のようにもたらしてくれる国ですが、だからといって、それ自体が人生を変えてくれるわけではありません。
「何これ、あり得ない!」といって拒絶すればそれまでです。「わー、異国! 異文化! すごーい!」と客体として面白がるだけでは、それ以上の何かはありません。「なーんだ、この程度か。期待はずれ」などと斜に構えていては、得るものも得られません。
体験と気づきが経験値になる
せっかくインドを歩くなら、アンテナをビンビンに立てて、感性の間口をめいっぱい開いて、素直な気持ちで真正面から相対して、生々しい体験の激流を受け止めましょう。
自分の目で見て、聞いて、触れて、嗅いで、食べて、肌で感じて。それらすべてが自分の中に経験値として溜まっていきます。
その中でふと思い至ったり、気になったり、ピンと来たりすることがあるかもしれません。
今までずっと誤解していたこと。
当たり前すぎて疑いもしなかったこと。
日々の忙しさにかまけて忘れていたこと。
思いこみに邪魔されて見えなかったこと。
日本で日常を繰り返すだけでは絶対にわからなかっただろう、たくさんのこと。
それらがまた、気づきとして自分の肥やしになっていきます。
そうして山ほど稼いだ経験値が、自分を豊かにしていると実感できたなら。
気づきを他人事でなく、自分事として活かしていけたなら。
そのとき、あなたの人生は間違いなく変わっているのだと思います。
自分の場合
抽象的な話が続いてしまったので、ここで自分の場合どうだったかという具体的な話をしていきたいと思います。
変わったこと
まずインド行きが決まった時点で「ここで会ったが百年目、ただでは帰らん、吸収できるものはぜんぶ吸収してやる!」みたいな謎の気概がありました。どんだけ楽しみに待ち続けてたんだよと。すごい気迫だけどお前が行くの4泊5日のツアー旅行だぞと。
結果はというと、まさに今お読みいただいている「はじめてのインド旅行!」。こんなブログを作ってしまう程度には収穫を得られたようです。人生が変わったとまで言えるかはわかりませんが、インドに行かなければ起こりえなかった変化であることは間違いありません。
私はクリエイティブ系の個人事業主で、本ブログもささやかながら仕事のうちと言えます。するとつまり、インドに行って仕事が変わりましたと言ってもあながち嘘ではなく……。そう考えるとなかなかの変化ですね。
得たもの
インドで何を得たのかといえば、もう一分一秒、瞬間瞬間に五感で受け止めたすべてと、それらを受けて思ったこと、考えたことのすべてという具合なので、逆に得たものしかないという状況です。その中からあえてひとつだけピックアップするとしたら、
「うまくいかなかろうが堂々と生きる」
この姿勢が身についたことかなと思います。
うまくいかないことは恥ではない
ずっと、うまくいかないことは恥、というか、胸を張れないことだと思っていたような気がする。理性ではそんなことないとわかってても、心の底ではそう思ってるみたいな。
— 真中ユエ (@manakayue) October 4, 2017
今は、うまくいこうがいかなかろうが、人は一生懸命に生きていて、一生懸命生きるということが恥なわけがない、引け目なんてあるはずもない、そう思っている。
— 真中ユエ (@manakayue) October 4, 2017
「うまくいかないのはよろしくないことだ」→「うまくいかなくても堂々と取り組んでいいんだ」と思い知る機会が、インドでのとある体験をきっかけに、以降ボロボロと増えていて、思わず備忘のためにツイート。
— 真中ユエ (@manakayue) October 4, 2017
めっちゃ生きてるインド人
インドってとにかく生命エネルギーがすごいんですよ。街中のすべての人が、なんというかもうめっちゃ生きてる。これでもかと生きてる。生々しいくらい生きてる。ほとばしるように生きてる。
それは日本でいうような、活躍してるとかキラキラしてるとか充実してるとか忙しくしてるとか幸せそうにしてるとか、もうそんなものでは全然なくて、もっとずっとシンプルで根源的なありようなんです。命!って感じなんです。
本当にこれはぜひとも現地に行って体験してほしい。その場に行って体感しないとわからないと思います。(逆に、インドに行ったことのある人には「ああ~わかる、めっちゃ生きてるよね!」なんてサラッと伝わったりするんじゃないかな、どうかな)
うまくいかない、それでも生きる
そしてそこには当然、うまくいっていない人々だってたくさんいるわけです。なんならうまくいっていない人だらけなんじゃないでしょうか。個人的にはそんな雰囲気を感じます。
わかりやすいところでは物乞い、カースト最下層で貧しい暮らしをしている人とか。うまくいくも何も……という話ですよね。
もっと身近な例では、日本人観光客向けのビジネスがどんどん苦しくなってきてるんだよね、というガイドさんのお話とか。日本も90年代のバブル崩壊以降、経済が冷えこんで久しいですからね。ああそうか、はるばる海を越えたこういうところにも影響があって、同じように苦労しているんだな……とか、あらためて考えてしまいます。
でも生きてる。
堂々と生きてる。
懸命に生きてる。
これでもかと生きてる。
うまくいっていないのは格好悪いとか恥ずかしいとか、そんなくだらないことを気にしてる場合じゃない。そんなことはどうでもいい、完全にどうでもいい。とにかく生きる。生きてるんだから生きる。
そういうシンプルな生命力、今の日本に足りていないと思いませんか。私は思います、とても。
それをインドで見せつけられて、非常に思うところあったんです。言うまでもなく、この気づきはその後の私の人生に大いに活きています。
「インドに行くと人生観が変わる」とはよく聞く評判ですが、こうして振り返ると確かに私もそのひとりなのかもしれないな、と思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。「インドに行くと人生が変わる」という噂の真偽について、私自身の例とともに、個人的な考えを書き連ねてみました。
- インドに行って人生が変わるかはその人次第
- 怒涛の体験と気づきを経験値にしよう
- 私自身は、言われてみれば確かに変わったかも
非常にざっくりではありますが、まとめるとこんなところかなと思います。
いやもう本当に面白い国ですよインド……! 外から眺めているだけじゃ決してわからない、体験のすごさを教えてくれる国だと思います。
共感いただけた方、ぜひ機会があったら実際に足を運んでみてください。私もまた行きます。絶対に。