ウェットティッシュとトイレットペーパーが必需品?インド旅行の衛生事情

2018年4月16日現地情報

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ヴァーラーナシーの道の様子

世界でもトップクラスの清潔さを誇るといわれる日本。水道水が飲める、トイレや道がきれいであるなど、様々な場面で外国人観光客が驚くという話をよく耳にします。

ではインドはどうでしょう? 多くの人がイメージするのは「雑然としている」「汚い」「カオス」といった印象ではないでしょうか。

実際これらは誤解ではなく、おおよそ的を射ていると言えます。しかしだからといってインドの魅力が損なわれるかといえば、そうともいえないのが面白いところ。

この記事では、そんなインドを旅行するにあたり知っておきたい衛生事情について、筆者が現地で見て触れてきた経験をもとにお話ししていきたいと思います。

はじめに

最初におことわりしておきたいのですが、私は「インドは衛生状態が悪いから、万全の準備をして挑もう!」ということを言いたいのではありません。タイトルに「ウェットティッシュとトイレットペーパーが必需品」と書きましたが、決して日本的・欧米的な、ややもすると潔癖な衛生観念を推奨するものではありません。

確かに、日本とインドでは衛生に関する考え方や環境が大きく異なります。どんな刺激的な体験も楽しめる肝の据わった人はさておき、そうでない人はあらかじめ、日本とインドでどんな違いがあるのか、ある程度知っておく必要があるかと思います。

ですがそれは「日本=清潔=よい環境」から「インド=不衛生=よくない環境」へ行くのだから気を付けなければいけない、という意味ではないのです。もしあなたがこの図式をかたくなに信じており、日本的な衛生観念こそ正しい、他は正直受け付けないというのなら、インドを訪れるのは考え直したほうがいいかもしれません。

本記事で伝えたいのは、価値観がどうこうという以前に「慣れない環境に飛び込むのなら、ある程度様子を知っておくとよいでしょう。そのうえで、各自の都合に応じて適宜対処していきましょう」ということです。知らずにリスクを取って要らぬトラブルに見舞われるのは、誰にとっても避けたいものです。

「インドに興味がある! だけどいろいろ噂を聞いて不安。でも行ってみたい……」というあなた。初心者目線の情報ではありますが、実際に現地に行って得てきた私の体験が参考になれば幸いです。

水について

水道水は飲まない

海外経験のある方はご存知かと思いますが、日本ほど上下水道や浄水施設がきっちり整備された国は珍しいです。大抵の国と同じく、インドもまた、水道水をそのまま飲むことはできません。

ミネラルウォーターを買って飲むようにしましょう。細心の注意を払うのであれば、歯みがきの水もミネラルウォーターにしておくと安心です。

ミネラルウォーターのペットボトル
ミネラルウォーターのペットボトル。1リットルがデフォルトです。

また、幸い私は遭遇しませんでしたが、中には空のペットボトルに水道水を詰めて売っている悪いお店も存在するようです。念のため、買う前にペットボトルの栓が開いていないか確認するとよいでしょう。

生野菜や氷に注意

水道水が飲めないということに関連して、

  • フルーツや生野菜などの過熱していない食べ物
  • 屋台のジュースやラッシーなど、生水や氷を使った飲み物

こういったものにも注意が必要です。体調に自信がないときや、日程に余裕のないときなどは避けたほうがよいでしょう。

水のきれいさには地域差がある

道中お世話になったインド人のガイドさん曰く、インド国内でも、地域によって水のきれいさが随分異なるそうです。

具体的な地名は忘れてしまいましたが「○○の水は特に汚い。顔も洗いたくない」とさえ言っていたのが印象的でした。現地の人でさえそのように感じるのですから、土地勘のない我々外国人旅行客ならなおのこと。甘く見ないほうがよさそうです。

ちなみに私が2017年秋に訪れた土地はデリー、アグラ、ヴァーラーナシー(バラナシ/ベナレス)の三つです。水道水を飲まないという一点だけはしっかり守りましたが、あとは割とテキトーでした。歯みがきも洗顔も水道水でやったし(うっかり忘れてた)、サラダやフルーツも食べたし(うっかり忘れてた)、ラッシーやジュースも飲みました(ちゃんとしたレストランだったのでまあ平気だろうと)。それで無事、何事もなく旅行を終えることができました。

体質的にもともとお腹が弱い友人は、さすがに上記のようなところも気を付けていたようです。その甲斐あってか、こちらも体調を崩すことなく無事帰国できました。

食事について

素手で食べることが多い

インドの食事は素手で食べる機会が多いです。現地の食べ方にならうなら、カレーなどの汁物も手を使って食べます。

たとえば、カレーとお米を手元のお皿によそい、右手で混ぜてすくって食べるといった具合です。これはインド人のガイドさんに教わった食べ方なのですが、なぜかスプーンで食べるより美味しい! これが本来の味? と驚きました。

外国人観光客向けのレストランではカトラリーも普通に用意されていますが、ナンやチャパティを食べるときなど、いずれにせよ手を使うことになります。

デリーのホテルの晩ごはん
ホテルの夕食の一例。手でちぎって食べるタイプの主食が必ず出てきます。

除菌用ウェットティッシュがあると安心

手拭きが用意されるとも、手洗い場がすぐ近くにあるとも限らないので、除菌用のウェットティッシュを常に携帯しておくとよいでしょう。

人によっては神経質に感じるかもしれませんが、私の場合、

  • 慣れない土地である
  • スケジュールにあまり余裕がない
  • 体力や免疫力に自信がない

このようなことを踏まえて、気を使うに値すると判断しました。

トイレについて

インドを初めて訪れるにあたり、必ず知っておきたいのがトイレ事情です。インドのトイレの習慣は日本と大きく異なるため、いざ個室に入ってからびっくりしないよう、前もってある程度知識をつけていくのがおすすめです。

トイレットペーパーがあるとは限らない

まず、インド人(の多く?)はトイレットペーパーを使いません。

彼らは用を済ませると、水の入った手桶を右手に持ち、後ろから器用に水をかけながら、左手で洗い流す。そして残しておいた半分の水で左手を洗い浄め、完了ということになる。これは、カースト、暮らしのよい悪いなどに関係なく、全インド人のやり方といっていい。

[出典:D28 地球の歩き方 インド 2017~2018 p.95]

そのため、トイレットペーパーが置かれていないトイレも普通に存在します。空港やスタンダードクラス以上のホテルなど、外国人が多く利用しそうな場所には大体用意されていますが、タージ・マハルの敷地内や寝台列車内のトイレにはありませんでした。基本ないと思っておいたほうが対応に困らないと思います。

ロールをひとつ持ち歩こう

ではどうするのかというと、選択肢は以下の二つです。

  1. インドの作法に倣う
  2. トイレットペーパーを持ち歩く

最もスマートなのは前者でしょうが、私は「いきなりインド式でやるのは難易度が高すぎる……!」と思ったので、まずは後者を選びました。

ロールの芯を抜いて潰すとコンパクトで持ち歩きやすいです。手荷物検査で引っかからない限り、常に携帯するようにしましょう。

ちなみに、少なくとも私のときは、タージ・マハルの敷地内には持ち込むことができました。タージ・マハルの手荷物検査について、詳しくは以下の記事をどうぞ。

トイレの中の様子あれこれ

水で洗い流すという習慣もあって、トイレの中は大体水浸しです。あらかじめ知っておくとびっくりせずに済むかと思います。

便器の形は洋式だったり和式っぽいものだったりいろいろです。

個人的に一番驚いたのは、ヴァーラーナシーのホテルのトイレ(客室ではなくフロアのほう)でした。和式っぽい形なのですが、水洗レバーはなく、排水口に網がかかっていて……『大』はどうすればいいんだと……。

ヴァーラーナシーのホテルにあった謎のトイレ
ヴァーラーナシーのホテルのトイレ。未知との遭遇!

連れの友人も真顔で「わからない」と言っていました。

いまだにあれの正しい使い方がわからないんですが、どなたかぜひ教えてください。ガイドさんが同性だったらその場で聞けたんですが……。

空気について

埃っぽさと乾燥に注意

ヴァーラーナシー空港の飛行機
埃っぽいインドの空気。空の上から見下ろすと空気が茶色くてびっくりします。

インドの空気は埃っぽく、乾燥していて、粘膜という粘膜にダメージを受けます。目薬、化粧水、ハンドクリーム、リップクリームなどを忘れずに持っていき、こまめに水を飲むようにしましょう。

コンタクトレンズをしていると目が痛くなってしまうため、視力矯正の必要な人はメガネをするようにしましょう。これは私自身が経験したことで、ワンデーの使い捨てコンタクトレンズをつけてアグラを観光していたら、夕方くらいから目薬を差してもどうにもならないほどの痛みに襲われてしまい、メガネに替えました。

あとこれは完全に想定外だったのですが、私の場合、乾燥で爪が割れました。爪切りややすりを持っていなかったので、なにかと引っかかって非常に不便でした。ハンドクリームをこまめに塗っていればあるいは防げたかも……。

マスクをしての外出は控えて

ただし、いくら空気が乾燥して埃っぽいからといって、マスクをして出歩くのはさすがにやめておきましょう。

日本ではごく当たり前の光景ですが、インドでは(というか大抵の国では)マスクをして外を歩く習慣がありません。非常に目立ちますし、犯罪者か?というような異様な印象を周囲に与えてしまいかねません。マスクは夜寝るときにつける程度にとどめておくことをおすすめします。

動物について

野生動物には近づかない

インドはいたるところに野生動物がいます。最もよく見かけるのは牛、犬、サルなど。普通にその辺の道端に寝そべっていたり、歩いていたりします。

これらの野生動物には絶対に近づかないようにしましょう。狂犬病などのおそれがあるほか、攻撃されたり、物を取られたりすることがあります。間違っても、日本で野良猫に触れるような感覚では接しないようにしましょう。

個人的には特に犬、次いでサルに気を付けるようにしていました。牛は多くの場合温厚で、すぐ横を通り過ぎたりしてもまったく問題ありませんが、気が立っている牛に近づいたり、むやみに触ったりはしないほうが賢明です。

タージ・マハルの野生のサル
タージ・マハルにいた野生のサル。決して近づかないように!
ヴァーラーナシーの街中で暮らす牛
ヴァーラーナシーの牛。ほとんどの場合、気ままにのんびりしています。

蚊にも要注意

動物以外に、蚊にも注意する必要があります。蚊はデング熱などの病気を運んでいる可能性があるため、虫よけを塗るなどして対策したほうがよいでしょう。

よくあるスプレータイプだと空港の荷物検査で没収されてしまう可能性があるため、日本から持参するならシートタイプやクリームタイプがおすすめです。私は日本のシートタイプの虫よけでも十分な効果を感じましたが、もし不十分だと思ったら、インド製の虫よけを現地調達するのがよいでしょう。

外務省のHPで情報をチェック

野生動物に関しては、狂犬病など、一歩間違うと重大なトラブルに繋がるため、あらかじめ十分に知識をつけておきたいところです。これに関しては外務省のページが詳しく正確なので、ぜひ参考にしてみてください。

道について

インドの道は、お世辞にも綺麗とは言い難いです。全体的に土っぽく、舗装の状態が悪いところも多く、ゴミや牛糞がそこかしこに落ちています。

ヴァーラーナシーの道の様子
ヴァーラーナシーの道の様子。路面の状態が悪く、車で走っているとときどきボーン!と跳ねます。

とはいえ、あまり足元ばかり見て歩くのも考えもの。せっかく旅行に来ているんだから景色を楽しまないと……というのももちろんですが、それ以上に、インドは車が非常に危ないのです。歩き慣れていない身からすると冗談でなく、場所によっては身の危険を感じるレベルです。

インドの道路事情についてよく知らないという方は、ぜひ、以下の記事をチェックしておくことをおすすめします。

ガンガーでの沐浴について

ヒンドゥー教の聖地・ガンガー(ガンジス河)では、外国人観光客も沐浴をすることができます。

ガンガーにその身を浸せばすべての罪が浄められる、死んで遺灰をこの河に流されることが最大の幸福であるとされる、きわめて霊的で大切な場所です。その信仰や想いに直接触れ、聖なる河に全身を委ねてみることは、きっとかけがえのない体験になることでしょう。

ガンガーの日の出
ガンガーの日の出。言葉を失う美しさです。

ただし注意したいこととして、ガンガーには遺灰や遺体、下水や工業廃水なども流れ込んでいます。なにもかもをすべて抱き込み悠々と流れていく様には非常に感じ入るものがありますが、現実的な話として、免疫のない日本人が沐浴をした場合、体調不良に見舞われる可能性は否定できません。

かくいう私も「沐浴する?」とガイドさんに聞かれたとき、気持ち的にも機会的にもよっぽどしてみたかったのですが、日程がごく限られていることや体力に自信がないことを鑑みて、今回はやめておきました。(あと、女性が沐浴している姿をあまり見かけなかったので、そういう意味で不安になってしまったというのもあります。女性だからできない、ということは決してないのですが……)

再びチャンスが巡ってくるかどうか、それはまさしく神のみぞ知る、ですね。

人それぞれ必要に応じて対処していこう

いかがだったでしょうか?

以上は、あくまで私個人が体験してきたインドの様子です。インドの旅に求めるものは人それぞれまったく異なるので、知っておくべきこと、気を付けるべきこと、それらを踏まえてどうするかについても、一人ひとり違ってきます。この記事が、それらを考えるうえで少しでもお役に立てたなら幸いです。

2018年4月16日現地情報

Posted by 真中ユエ